平和だ。
終戦の日。この時期になると思い出すお客様がいます。
鈴木さん(国内で2番目に多い名前なので実名)は、物静かで孫息子思いの紳士です。80歳を2つ3つ越えておいででしたが、油絵を趣味にしていらしたので、市展に60号くらいの大作を出品していらっしゃいました。油絵のお友達と海外旅行も楽しんでおられて、その年はフランスへ渡航されたと話してくださいました。(イタリアだったかな?)その国の美術館や、建造物を見学するのが目的の旅行です。
私は、「ヨーロッパは、結構まわられましたねぇ。次は、ニューヨークかな?」と。
鈴木さんはいたずらっ子のような笑顔で、はっきりと「アメリカは行かない。敵国だから。」とおっしゃいました。
私は、その時なんと答えたか覚えていません。でも笑顔は鮮明に覚えています。
あの日、私ははっきりと戦争の悲しさを知りました。
今日は、大切な日です。
鈴木さんは、2005年に先へ逝かれました。感謝。合掌。